風景構成法の実施法

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◎風景構成法

風景構成法は、元々、精神病患者の心理検査を兼ねた芸術療法で、クライエントを理解するために考案された非言語的コミュニケーション手段として、日本で独自に創案され開発されたものです。

セラピストとしての留意すべきことは、人の心象を覗き(描いた人の性格や履歴、親や家族との関係、進路など)見るわけですから、何よりもセラピストとしての自覚を常に忘れないことです。


◆ 風景構成法の実施法

場所:静かな空間。作画中の携帯電話や人の出入りは禁止します。

①用具:B4~A3の画用紙、鉛筆(HB)、消しゴム、色鉛筆かクレヨンまたはクレパス、黒のサインペン(油性)

②手順:
・用紙を配ります。
・教示1「用紙に“黒のサインペン”で枠を描いてください。」と、指示します。
・教示2「今から私が言うものを一つずつ枠の中に描いていってください。」
    「全体として一つの風景となるようにしてください。(用紙の上が遠くで手前が近く)」
・教示3「絵の上手、下手は関係ありませんので、自分の思ったように気軽な気持ちで描いてください。但し、いい加減に描くのではなくて、できるだけ丁寧に描いてください。」と、絵の上手、下手を見るのではないことを断り、好きに描いてよいことを保証します。
・教示4「描きたくないものは、描かなくてもいいです。」と拒否を認めます。
(各項目の作画に要する時間は、各1分間程度)
1.「川を描いてください。」
2.「山を描いてください。」
3.「田圃を描いてください。」
4.「道を描いてください。」
5.「家を描いてください。」
6.「木を描いてください。」
7.「人を描いてください。」
8.「花を描いてください。」
9.「動物を描いてください。」
10.「石を描いてください。」
11.「最後に、この絵を完成させるために足りないものがあれば、付け足して描いてください。」
・教示5「絵を描き終わった後は、色を塗ってください。」と彩色をするように指示します。
(彩色に要する時間は、10分間程度)

・完成した絵を見ながら質問していきます。
(描いた絵の意味:連想を聞き、象徴的に解釈する)
「季節は…?」、「何時ころ…?」、「天候は…?」、「川はどこに…?」
「あなたは…?」、「人は今何を…?」、「動物は何を…?」
などを、質問が侵入的にならないように聞くことです。
【「◆ 風景構成法の内容分析」の「◎質問する事柄」を参照】
・教示6「裏面に年月日と氏名を記入してください。」と、指示します。

③空間構成
・二重世界現象:二重焼き付け写真のように、二つの世界が重ね合わせられている。
・真空世界現象:色彩的距離効果を欠き、月世界の風景のように描かれている。
・遠景化現象:透視法の要求以上に、遠景が小さく描かれている。
・近影化現象:近景の強調が著しい。
・超近影化現象:遠景上に細分を有する中、小景群を描く。
・鳥瞰図現象:真上からみた地図のような風景を描いている。
・虫瞰図現象:遠景がそそり立ち、地表近くに存する視点で描かれている。
・棚積み空間現象:棚につんだように遠景・近景が上下の関係に置き換えられている。
・稜線の枠こえ現象:山が枠からはみ出して、山頂が見えない。
・空間の過多:効果的な場合か非効率的空白か。
・構成放棄:順に絵を書きならべている。積み木のようになっていて、全体の構成が取れていない。


◇参加者に構成の拒否やアイテム(絵)の拒否があった場合。
A:描きたくない、描かないということは認め、何故描きたくないのか、描けないのかを許容した上で、その人の特徴を考えることです。
描かせることが目的ではないので、描かないということも参加者を知る上で大きな情報になります。
手順を踏むことが大切なことではなく、参加者が自分をだせる(自己表現ができる)ことが目的です。

◇太陽等のアイテム(絵)はどのように解釈したらよいのか。
A:参加者の連想や太陽やアイテム(絵)がどのような意味を持つのかを聞いていきます。
参加者が気づく前に言語化するような、早すぎる質問などは避けることです。
参加者の連想を大事にすることが必要で、質問が参加者の脅威となってはいけません。


風景構成法(Landscape Montage Technique)は、精神病理学者でもある精神科医の中井久夫氏が、統合失調症の治療法研究の課程で箱庭療法に替わる心理療法におけるクライエント理解の有力なツールとして、1969年に考案したものです。

知的な能力の劣る子どもの場合や、統合失調症の場合は、アイテムだけを書き並べて構成ができない場合が多々あるし、構成の度合いにより、一枚の絵にならない場合は、自我が弱体化した様子が反映される場合があります。

描画の中で情報が多かった時や、変化を見る時や、変化が予測される時などに、描画テストとして変容を見るために有効なので、言語の内容で変化が起こってきている時や、イメージの領域でどのように変化してきているのかを知りたくなったときなどに描画テストは効果があるが、言語情報だけで変化が分かる場合は特には必要ありません。

風景構成法を含むアートセラピー(芸術療法)はそのプロセスを一緒に共感する、でき上がった作品を全体の印象で掴むことが大切である。
バランスの悪い木などを見ると不安を感じることもあるが、衝動や情動と他のアイテムとの兼ね合わせを、心情を調べてやろうとか暴いてやろうという態度や、無理に意見を押し付けるのでは、信頼できる関係性を築く事はできません。