神経症

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◎神経症、心身症と精神病

【神経症】
・神経症とは、精神医学用語で、主に統合失調症や躁うつ病などよりも軽症であり、病因が器質的なものによらない精神疾患のことを言い、かつては不安神経症、強迫神経症と呼ばれていた軽度のパニック障害や強迫性障害などがこれに当たります。

・現在では神経症という名称はあまり使われず、WHO(世界保健機関)の定める分類によって、○○障害と呼ばれるようになり、症名も細分化されかつての数十倍ほど増えているが、大別するとICD-10(国際疾病分類第10版)とDSM-IV-TR(精神障害の診断と統計の手引き)に分けられます。

[従来の分類]
不安神経症
ICD-10  :全般性不安障害、パニック障害
DSM-IV-TR:全般性不安障害、パニック発作
[従来の分類]
恐怖症
ICD-10  :恐怖症性不安障害、社会恐怖、特定の恐怖症
DSM-IV-TR:パニック障害、恐怖症性不安障害、社会恐怖、特定の恐怖症
[従来の分類]
強迫神経症
ICD-10  :強迫性障害
DSM-IV-TR:強迫性障害
[従来の分類]
ヒステリー神経症
ICD-10  :解離性障害、身体化障害、多重人格障害
DSM-IV-TR:解離性障害、転換性障害、身体化障害、解離性同一性障害
[従来の分類]
心気神経症
ICD-10  :心気障害
DSM-IV-TR:心気症
[従来の分類]
離人神経症
ICD-10  :離人現実感喪失症候群
DSM-IV-TR:離人症性障害
[従来の分類]
心因性神経症
ICD-10  :持続性身体表現性疼痛障害
DSM-IV-TR:疼痛性障害
[従来の分類]
抑うつ神経症
ICD-10  :気分偏重症
DSM-IV-TR:気分変調性障害
[従来の分類]
適応障害
ICD-10  :適応障害
DSM-IV-TR:適応障害
[従来の分類]
外傷神経症
ICD-10  :外傷後ストレス障害
DSM-IV-TR:外傷後ストレス障害

●[精神神経症]
○恐怖症:通常では恐怖の対象にならない物事や状況を極度に恐れる症状です。
・高所、閉所、先端、乗り物、疾病、対人、赤面、醜面など、症状ごとに名前がついていて、特定の対象に対してのみ極度の恐怖心を持ち、それ以外では恐怖を感じないというのが特徴です。

○強迫神経症:ある特定のことを「~せずにはいられず」に、行為を反復してしまう症状です。
・行為自体は意識されたものなので、「無意味だ、バカバカしい」と感じ「やめたい」と思ってもやめることへの不安も強い為に、やめることができません。

○ヒステリー神経症:不安や恐怖などではなく、主に運動知覚領域に属する、四肢の麻痺や失神、知覚や視覚、記憶の消失などが身体症状となって現れるものです。
・行為を拒絶する為に身体の一部が麻痺したり、見ること、聞くことを避ける為に視覚や聴力を麻痺させたり、忘れたいと思うために記憶を遮断するが、身体的には異常はなく、一時的に機能を失わせるのが特徴です。

●[現実神経症]
○不安神経症:明確な原因がないのに、あるいは原因があっても強い不安がいつ迄も続き、その病的な不安とそれに伴い身体症状となって現れるものです。
・何らかの精神的なショック、心配ごと、悩み、ストレスなど、心因性のものとされているが、過労、睡眠不足、風邪など、身体的な状況がきっかけになることもあり、過度の不安や心配が付きまとい、それが慢性的に続く(診断基準では6カ月以上)のが特徴です。

○自律神経失調症:交感神経と副交感神経の2つから成り立つ自律神経のバランスが崩れた時に、様々な不調が体に起こるもので、日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と暫定的に定義されて、日本では広く認知されているがDSMでは定義されていません。
・夜更かしやストレスなどで脳を休める時間が減ると自律神経が興奮し、結果的に交感神経と副交感神経の優位入れ替わりのバランスが崩れ、身体症状となって現れるものです。
(詳しくは「自律神経失調症の特徴」の項で述べています。)



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