◎神経症、心身症と精神病
【心身症】
・心身症は、心の問題の関与が大きい身体疾患の総称で、精神の持続的な緊張やストレスによって発生し、身体的な検査で実際に異常を認めることも多い身体疾患で、症状の発生や、症状の増悪に心因が影響している疾患を言います。
・日本心身医学会では、心身症とは「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など他の精神障害にともなう身体症状は除外する」と、定義していいます。
・心身症になりやすい人の性格傾向として、自己の感情を意識的に認知することの苦手さや、空想力、創造力の欠如を特徴とし、不満や不安などの感情を意識で認識する代わりに、身体で表現してしまうと考えられています。
・身体に現れる症状を主とするが、心理的因子(心身症として発症する要素を持っている)についての配慮が特に必要な疾患です。
●[心身症とその周辺疾患]
○呼吸器系:
気管支喘息、過換気症候群神経性咳そう、慢性閉塞性肺疾患など。
○循環器系:
本態性高血圧症、本態性低血圧症、起立性低血圧症、冠動脈疾患、不整脈など。
○消化器系:
胃・十二指腸潰瘍、急性胃粘膜病変、慢性胃炎、過敏性腸症群、慢性肝炎、慢性膵炎など。
○内分泌・代謝系:
神締性食欲不振症、過食症、単純性肥満症、糖尿病、胃性糖尿、反応性低血糖症など。
○神経・筋肉系:
筋収縮性頭痛、片頭痛、慢性疼痛、痙性斜頸,書痙、自律神経失調症、冷え症など。
○泌尿・生殖器系:
夜尿症、遺尿症、神経性頻尿、心因性閉尿、遊走腎、前立腺症、尿道症候群など。
○小児科領域:
気 管支喘息、過換気症候群、憤怒痙撃、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、反復性腹痛、神経性食欲不振症、過食症、周期性嘔吐症、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、夜尿症、吃音、心因性発熱など。
○皮膚科領域:
蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形性脱毛症、凡発性脱毛症、多汗症、皮膚掻痒症など。
○外科領域:
腹部手術後愁訴、頻回手術症、形成術後神経症など。
○整形外科領域:
慢性関節リウマチ、全身性筋痛症、結合織炎、腰痛症、肩こり、慢性疼痛性疾患など。
○産婦人科領域:
更年期障害、機能性子宮出血、術後不定愁訴、月経前症候群、続発性無月経、卵巣欠落症候群、卵巣機能低下、不妊症、流産、早産、妊娠悪阻、微弱陣痛、過強陣痛など。
○眼科領域:
中心性漿液性脈絡網膜症、原発性緑内障、眼精疲労、本態性眼瞼痙攣、飛蚊症、眼痛など。
○耳鼻咽喉科領域:
耳鳴、眩量症、心因性難聴、アレルギー性鼻炎、嗅覚障害、心因性失声症、吃音など。
○歯科・口腔外科領域:
顎関節症、牙関緊急症、口腔乾燥症、舌咽神経痛、義歯不適応症、補綴後神経症など。